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フットサルを中心に雑食的フットボール観戦記。

【ジャゴナウ】フットサル観戦が10倍面白くなる戦術講座

フットサル観戦が10倍面白くなる戦術講座 ~ジャゴナウ~

フットサルと言えばサッカーよりも1対1の場面が多く、足下のテクニックを発揮する場面が多いスポーツだと思っている人も少なくないと思います。しかしコートが狭いフットサルでは逆に2人組、3人組でのチーム戦術や個人戦術を発揮する機会がサッカーよりも多いスポーツでもあります。

戦術ボードで説明する小野直樹監督 戦術を確認するアグレミーナ浜松の選手たち

戦術ボードで説明する須賀雄大監督 でもフットサルの戦術用語って難しいですよね。難しいですけど、戦術の名前とそれが指すプレーがわかると選手やチームの狙いがわかってフットサル観戦がもっともっと面白くなると思いますし、エンジョイプレーヤーは自分のプレー向上に役立つでしょう。

この記事ではそんなフットサル特有の戦術を紹介・解説していきたいと思います。今回取り上げるのは「ジャゴナウ」、前回の「パラレラ」と対を成すフットサル戦術です。

※筆者はフットサル競技経験どころかサッカー部活経験もない素人です。もし誤解や間違いがありましたらブログコメントやツイッターお問い合わせフォームからご指摘ください。


フットサル観戦が10倍面白くなる戦術講座 ~ジャゴナウ~


ジャゴナウってどんなプレー?

「ジャゴナウ」 とはポルトガル語で「斜め」や「対角」を意味することば、英語では「ダイアゴナル」と読みます。11人制のサッカーでも横パス、縦パスに加えて斜めのパスのことをダイアゴナルパスと呼びますね。

フットサル戦術・ジャゴナウ

パラレラと同様に中央の選手(フィクソ)からサイドの選手(アラ)の選手に横パスを出したあと、縦に抜けるふりをしてから逆サイド側に折れる動きをすることで、斜めのパスを引き出す動き方です。


ジャグナウ?ジアゴナール?ダイアゴナル?あなたはなんて呼ぶ?

もしかすると 「ジャゴナウ」 はもっとも呼び名がたくさんあるフットサル戦術のひとつかもしれません。

ジャゴナウ?ジアゴナール?ダイアゴナル? フリー写真素材ぱくたそ

アルファベットで書けば 「diagonal」 の一種類しかないのですが、この読み方のカタカナ表記が何種類もあります。英語読みの「ダイアゴナル」はよいとして、ポルトガル語読みの「ジャゴナウ」「ジャグナウ」、スペイン語読みの「ジアゴナール」「ディアゴナル」などなど、微妙に呼び方が違ってもこれは全部おなじ戦術のことを指していますので注意してください。

実際にはどの呼び方が多数派なんでしょうか?ツイッターでアンケートを取ってみました。

結果は「ジャゴナウ」が第1位となりました。Googleでの検索結果件数もジャゴナウが約3.5万件に対してジャグナウが約2万件と、このアンケート結果とほぼ同様となりました。

筆者は初めて見た眞境名オスカーさんのフットサルDVDでそう呼ばれていたのでずっと「ジャグナウ」派だったんですが、今後はこのブログでも多数派に乗っかって「ジャゴナウ」と表記していきたいと思います。


ジャゴナウとパラレラの比較

ジャゴナウとパラレラの比較①

フィクソからアラにパスを出したあと、ボールサイドの裏を取って縦パスを受けるのが「パラレラ」。反対サイド開いて斜めのパスを受けるのが「ジャゴナウ」。

この図はわかりやすくするためにわざと大袈裟に描いていますが、フィクソがパスを出したあとの動きがちょうどパラレラとジャゴナウで対照になるイメージです。

ジャゴナウとパラレラの比較②

ま、実際はこんなにきれいには対照にはならずジャゴナウのほうがより“縦に深く“抜けてから一気に方向転換することでマークを引き離す狙いがあります。逆にパラレラは前を向いてボールに追いつきたいので浅い位置から折れて走り込むことが多いです。

パラレラ、ジャゴナウ、そしてワンツーを瞬時に使い分けるFリーガーたち

DFの裏のスペースを突くためにパラレラ、ジャゴナウ、そしてワンツーといった様々な戦術を、DFの位置とピヴォのサポートを見極めながらFリーグや競技フットサルの選手たちは試合の中の一瞬で判断して使い分けています。

パラレラ、ジャゴナウ、ワンツーの使い分け

  • パラレラ:DFが中を切っていて、ピヴォのサポートがない場合。
  • エル:DFが中を切っていて、ピヴォのサポートがある場合。
  • ワンツー:DFが縦を切っていて、ピヴォのサポートがない場合。
  • ジャゴナウ:DFが縦を切っていて、ピヴォのサポートがある場合。(縦に抜けたフィクソにマークがついてきた場合)
  • 中ワンツー:DFが縦を切っていて、ピヴォのサポートがある場合。(縦に抜けたフィクソにマークがついてこなかった場合)


ジャゴナウからのシュートシーン実例

ここまで紹介してきたジャゴナウという戦術が試合ではどう使われているのか?実際の試合映像で見てみましょう。

こちらはスペインのフットサルリーグ・LNFS: Liga Nacional de Fútbol Sala のワンシーン。ここまで図解してきたような3-1ではなく、4-0(クアトロ)からの形ですが動き方自体はまるで教科書のようなジャゴナウからのゴールです。

ジャゴナウからのシュートシーン解説①


Fリーグ2020/2021シーズン最終節、名古屋オーシャンズのジャゴナウ&ワンツー。素晴らしいループシュートでのゴールに目が行きがちですが、名古屋・4.水谷選手から斜めのパスを受ける7.安藤選手の動きがジャゴナウです。

ジャゴナウからのシュートシーン解説②~名古屋オーシャンズ


最後はFリーグ2015/2016シーズンのペスカドーラ町田から珍しいセットプレーでのジャゴナウ。0:19あたりから始まるキックインからのゴールを見てください。

7.金山選手の長い距離を走ってパスコースをつくる動きもお見事ですが、この斜め後ろからの浮き球を直接ボレーする技術もすごいです。

ジャゴナウからのシュートシーン解説③~ペスカドーラ町田


ジャゴナウは個サルで差がつくテクニック

ここからはエンジョイプレイヤー向けに、明日の個サルで周りと差がつくテクニックとしてジャゴナウの実践方法を解説している動画を紹介していきます。



こちらも、パラレラ同様に以前アグレミーナ浜松の剣持貴充選手のクリニックで教わったポイントを引用します。

  • 「フェイクのためのフェイク」にならないように
    フットサルではまずDFの裏を狙うのが大前提。ただし、そう簡単に裏を取らせてくれないからフェイクをするわけです。
    だからまずは本気で裏を狙う。そのときにマーカーがついてこなければ、そのまま「中ワンツー」を狙った方が直接ゴールを狙うことができます。そうでないと相手にとって怖くない。怖くなければフェイクになりません。

  • 開くときはサイドステップ
    ジャグナウの動きで開くとき、バックステップだとスピードが落ちてDFについてこられてしまいます。半身の姿勢でサイドステップに近い形で素早く方向を切り替え、トラップの瞬間だけ身体を開くことでDFを振り切りスペースでパスを受けることができます。



パスを受けるとき、受けたあとの動き方については中井健介選手の解説動画の後編が参考になります。ここまでできると、本当に個サルで差がつくテクニックになるでしょう。



このブログでは戦術解説以外にFリーグやフットサルの観戦記を書いています。こちらの記事もぜひ合わせてお読みください。



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