第4回ユニアオレディースカップにはデフフットサル女子日本代表チームが初めて参加しました。
デフフットサルとはろう者(聴覚障がい者)のプレーするフットサル。Fリーグをよく観ている人たちにとっては何年か前に代々木セントラルでもブースを出して支援を呼びかけていたと言うと分かるかもしれません。
「フットボールはコミュニケーションのスポーツだ」と言われるほど、選手間の意思の疎通は重要です。試合中は補聴器を外さなければならない彼女たちはその点で健常者に対してハンディキャップを負うことになります。
日本リーグ所属チームを相手にしても堂々とそしてひたむきにチャレンジし、劣勢の中でもフットサルを楽しんでいたデフ代表に多くの選手、観客が心を打たれました。
この記事ではユニアオレディースカップ観戦記の番外編として、デフフットサルの現状やその支援方法についてまとめてみます。
大会全体の観戦記についてはこちら。
【デフフットサル女子日本代表を応援しよう!】第4回 UNIAO LADIES CUP 2019 番外編
デフサッカー/デフフットサルとは
ルールは通常のフットサルとほぼ同じ
デフサッカー/デフフットサルとは聴覚障がい者がプレーするフットボール。選手たちは試合中は補聴器をつけることができず、音のない世界でボールを蹴ります。一方でそれ以外のルールはほとんど通常のサッカー/フットサルと同じ。
耳が聞こえない選手たちは円陣を組むと掛け声の代わりに思い切り足を踏み鳴らし、その振動でチームの一体感を感じるそうです。
アンプティサッカーやブラインドサッカー、電動車椅子サッカー等とは異なり、特別な道具や機材も不要です。
健常者と聴覚障がい者が一緒にプレーできる
つまり、健常者も障がい者も一緒にプレーできるチャンスがより多い競技だと言えます。もちろん、他の競技についてもちょっとした工夫や気遣いで両者が一緒にプレーすることは可能です。あらゆる人たちが一緒にプレーする「まぜこぜサッカー」なんてものもあります。ただそれは、競技スポーツとはやはり少し違う形になってしまうと言わざるを得ません。
実際に、聴覚障がい者・健常者・知的障がい者の混成チームである「バルドラール浦安デフィオ」は千葉県フットサルリーグ3部に参戦し、全員が健常者のチームと真剣勝負を繰り広げています。
また、デフ選手が個人として健常者チームに所属する例も多く、例えば今回のデフ代表の中では2.原田明奈選手は東海女子フットサルリーグ2部のアスレジーナに、11.酒井藍莉選手は日本女子フットサルリーグ/関東女子フットサルリーグのさいたまSAICOLOに所属しています。
ユニアオレディースカップでの戦績
健常者と対戦することが決して初めてというわけではなかったデフフットサル女子日本代表。しかしユニアオレディースカップでは日本リーグの福井丸岡RUCK、ユニアオレディースと同組となり、大差をつけられて2連敗。
それでも関東女子フットサルリーグのTapaZidaには勝利して3位トーナメントへ。関西女子フットサルリーグのレオグラスタとPK戦までもつれる接戦を演じながら敗れると、最終試合もC.R.F IDEAL Ladiesに惜敗。1勝4敗という結果になりました。
11月のスイスW杯に男女代表が出場!
そんな厳しい成績となったデフフットサル女子日本代表でしたが、11月にスイスで行われるデフフットサルワールドカップへの強化合宿の締めくくりとしてはこれ以上ない相手と試合をすることができたとも言えます。このスイスW杯は男女共同開催され、日本からは男女代表が揃って出場します。
世界一に一番近い日本のフットサル!?
このスイスワールドカップに男女そろって出場するデフフットサル日本代表、前回大会の成績はそれぞれ7位/6位。今回のアジア予選では男子代表は前回W杯優勝のイランと同組になりながらも決勝トーナメントに勝ち進み、そして前回W杯準優勝のタイを準決勝で破って準優勝しました。女子代表もアジア予選を全勝優勝しており、もしかすると今日本のフットサルで世界一に一番近いのはデフフットサルなのかもしれません!?
代表活動費の多くは自己負担
世界一をめざし挑戦するデフフットサル日本代表ですが、デフフットサルはパラリンピック競技ではないこともあってその財政は非常に厳しい状況。活動費の多くを選手たちが自己負担せざるを得ない状況で、交通費を除いてなお一人当たり年間40万円以上かかるといいます。
ユニアオレディースカップでは、試合に加えてチラシやポスター、応援国旗への寄せ書きなどを通じてデフフットサルの現状を知ることができました。
誰でもできる!デフフットサルの支援
代表活動費の多くの部分を自己負担で賄わざるを得ないというデフフットサル日本代表。ユニアオレディースカップでは募金が呼びかけられ、58,956円の支援金が集まりました。
会場にいたけどタイミングが合わず募金できなかった人、今後も継続的に支援していきたい人、ユニアオカップは観戦していないけどこの記事を読んで支援しようと思ってくれた人が、どうしたらデフフットサルを応援できるのか、支援方法を調べてみました。
SNSアカウントをフォローしよう!
まず、デフフットサルの協会やチーム、選手、応援グループなどのSNSアカウントをフォローすることは誰もが無料で行える最もハードルの低い支援です。
日本ろう者サッカー協会 | Twitterアカウント
日本ろう者サッカー協会 | Facebookページ
日本ろう者サッカー協会 | Instagramアカウント
日本障がい者サッカー連盟(JIFF)| Twitterアカウント
そんなことが「支援」になるの?と、思う方もいるかもしれません。しかし一度でも発信する立場に立ったことのある人ならわかると思いますが、応援の気持ちが数字として現れることは本当に嬉しくモチベーションが上がります。
またフォロワー = デフフットサルに好意的な人たちの数が多ければ、今後スポンサーを獲得するのにも有利に働くはずです。
別の競技になりますがSNSでの試合告知投稿を多くの人たちに見てもらおうと、ツイッターなどにプロモーション費を支払って拡散した方がいます。
この時に払ったお金に対する効果を換算すると、フォロワー数にもよりますが私たちの1回のリツイートは数百円相当の広告費支援効果があるということになります。これってすごくないですか?
さらに例えば、YouTubeでは今年の規約改定によってライブ配信をするにはチャンネル登録者数1000名以上というハードルが設けられたらしく、これに関しては明確に「フォローすることが支援」となります。
チリも積もれば山となる。あなたの1フォロー、1いいね、1リツイートは誰にでもすぐにでも無料でできる支援方法です。これはデフフットサルに限らずどんな応援対象にも言えることですね。
オシャレに着られるチャリティTシャツ
チャリティの定番であるTシャツ。募金だとお金を払ったらおしまいですがTシャツを買えば手元に残りますし、それを着ることで応援の気持ちを表現することができます。
【知る、着る、繋がる】Deaf football charity デフサッカー、デフフットサル日本代表応援Tシャツ
デフフットサル日本代表フィジカルアッププロジェクト「OURVISION」と「MIFA」(※)のコラボレーション応援Tシャツ。価格は3000円で送料無料、売り上げの一部がろう者サッカー協会に寄付されます。
※MIFA:ウカスカジー(Mr.Childrenの桜井和寿とラッパーのGAKU-MCの二人からなるユニット)を中心に音楽とフットボール通じて様々なコミュニケーションを想像していくプロジェクト
ぼくたちは2019年にこちらのTシャツを夫婦で購入させていただきました!ちなみに、胸に大きく描いてある「Avançar」という文字はポルトガル語で「前進」という意味。このキャッチフレーズの翻訳アドバイスにあの笠井健太氏が関わっているそうです。
2020年バージョンのメッセージワードはポルトガル語で「Novo(ノヴォ)」日本語で『新たに(英語のNew)』という意味の言葉だそうです。支援の輪を大きく広げた2019年に続く、デフフットボールの新しい挑戦に期待ですね!
JDFA × KUVERA football park チャリティTシャツ
こちらは受注販売で、このタイミングでも購入することができます。1着2500円で、売上の一部はJDFA / 一般社団法人日本ろう者サッカー協会様へ寄付されます。
OURVISION 2019応援Tシャツ
こちらは「OURVISION」シングルブランドの応援Tシャツ。売り上げは全て選手の強化費用として全て使用されるそうです。
JDFAオフィシャルサポーターになる
JDFA-日本ろう者サッカー協会-では、年間4000円で個人が協会や選手たちを支援できるサポーター会員を募集しています。
ただいま2019年度会員募集中です。「2019年度ってもう終わりじゃん!?」って思いがちなのですが、JDFAは年度は9月始まりのようで、この2019年度会員とは2020年8月31日までを指すようです。
Tポイントでも募金ができる
Yahoo!募金ではお金だけでなくTポイントでも募金ができるのが大きな特徴ですが、そのメニューのなかにデフサッカー/フットサルへの支援があります。
こちらの寄付金は、日本障がい者サッカー連盟の手話通訳費用補助制度によって講習会や研修会の主催者の手話通訳費用に使用されるそうです。
障がい者サッカー全体への寄付
後述しますが、デフフットサル以外にも世の中にはいろんな形のフットボールがあります。日本障がい者サッカー連盟(JIFF)ではデフフットサルも含めた、障がい者サッカー全体への寄付金を募っています。
W杯渡航費クラウドファンディング※現在終了
※このクラウドファンディングは既に終了しています。目標の2000万円には届きませんでしたが、450万を超える支援が集まり選手たちの遠征の一助となっただけでなく、多くの人にデフフットサル/デフフットサルW杯を知ってもらうきっかけになりました。※
いくつかデフフットサル日本代表を支援する方法を紹介してきましたが、より直接的にスイスW杯に出場する選手たちの渡航費・滞在費をゼロにすることを目指して2000万円を集めるクラウドファンディング・プロジェクトが2019年5月30日からスタートしました。
寄付金額に対するリターンも様々準備されており、好きなカラーを選べる「OURVISION 2019応援Tシャツ」とステッカー・シリコンバンドがセットになったもので4000円。その他にも選手、監督からフットサルを教えてもらったり、講演会に来てもらったりなどがあります。2000万円というと途方もない金額にも思えますが、4000円のTシャツを5000人が購入すれば達成できます。本当に2000万円を集めたらメディアに取り上げられる話題性という意味でも大きな支援になるでしょうから、いま支援をする気持ちがある方はこのクラウドファンディングに集中してもらうのがいいのかもしれません。
他にもある、いろんな形のフットボール
ここまで、デフフットサルとその支援方法を紹介してきました。世の中にはまだいろんな形のフットボールがあり、そのうちのアンプティサッカー(切断障がい者)/CPサッカー(脳性まひ)/ソーシャルフットボール(精神障がい)/知的障がい者サッカー/電動車椅子サッカー/ブラインドサッカー(視覚障がい)/デフサッカー・フットサル(聴覚障がい)の7団体が日本障がい者サッカー連盟(JIFF)を結成し、JFA日本サッカー協会と連携しています。
日本代表がサッカーワールドカップに出場するようになって20年、ぼくたちはボールを通じて国籍や人種を超えたコミュニケーションの可能性を体感してきました。同じように、フットボールには障がいの有無というハードルも越えさせてくれる力があると信じています。
このブログ「FUT-LOG」では腕や脚を失った切断障がい者による7人制サッカー「アンプティサッカー」についてたびたび取り上げています。この機会にこちらの記事もぜひチェックしてみてください。
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